子供向けの作品なので、使われている単語は比較的易しめ。
また、歴史に残る名作なので、文学作品としてもすばらしい。
特に、言葉遊びが多彩で、英語を勉強する人にはためになるのではないだろうか。
この言葉遊びは日本語に翻訳するのが難しいので、日本語訳を読むだけで
はこの作品の面白さを完全に理解することは難しいかな。
また、1800年代のイギリスの教育内容が垣間見れるのも面白い点だ。
小学校低学年だと思われるアリスですが、色々と難しいことを勉強してるようだ。
また、この本に使用されているイラストもかわいらしく、楽しんで読むことが出来ると思う。
「不思議の国のアリス」の中に出てくる言葉遊びについて、具体的に見てみたいと思う。
例えば、アリスとネズミとの会話で次のようなやり取りがある。
"Mine is a long and a sad tale!" said the Mouse, turning to Alice and
sighing.
"It _is_ a long tail, certainly," said Alice,
わかるだろうか?
冗談の解説をするのは野暮だとは思うが、一応してみると、
「私のは長くて悲しい話("tale")なんだ」とネズミが言う。
「それを聴いたアリスは確かに長い尻尾("tail")ね」と答える。
ネズミの言うお話"tale"をアリスは尻尾"tail"と勘違いしたのだ。
実はこの2つの単語、発音が一緒なのである。
例をもう一つ
`And how many hours a day did you do lessons?' said Alice, in a hurry to change the subject.
`Ten hours the first day,' said the Mock Turtle: `nine the next, and so on.'
`What a curious plan!' exclaimed Alice.
`That's the reason they're called lessons,' the Gryphon remarked: `because they lessen from day to day.'
"the Mock Turtle"と"the Gryphon"がアリスに学校での学習時間を教えるシーンだ。
彼らの学校は初日に10時間の授業があるのだが、
二日目以降9時間・8時間・7時間…と授業時間が減っていく。
実はこれは、授業という意味の"lesson"と、減らすという意味の"lessen"をかけている言葉遊びだ。
この2つもつづりの違いだけで、発音は同じ。
こういった言葉遊びは日本語に訳せない。
なので、「不思議の国のアリス」は原書で読んだ方が断然面白い。
アリスが小学校低学年の子供だと考えると、
彼女が受けてきた教育の水準の高さに驚かされる。
まず、うさぎの穴に落ちるとき、「緯度と経度はどうなるのか?」考えるシーンがある。
「緯度と経度」について正確にわかっているわけではなさそうだが、それでも、
そういう単語が出てくるだけですごいと思う。
また、ラテン語やフランス語に対しても多少の知識があるようだ。
ラテン語というのは、フランス語やスペイン語など南ヨーロッパの言語の
元になる言語で、現在では一般には使われていない言語だ。
ラテン語を学んでいることから、アリスはかなりいいところのお嬢さんであることが想像できる。
また、アリスは歴史の知識もあるようで、英語で話しかけても答えないネズミに対して
「征服王ウェリアムにつれてこられたネズミかしら?」と推測するシーンがある。
少なくとも、そういう王様がいたという事実は知っているようだ。
Last update:2023/2/27